「誰が悪いのでもない」萩原葉子著
札幌にいる母と連絡がとれ、汽車と船を乗り継いで札幌に向かう。
―私は胸が一杯で夢見心地のまま、駅の改札口に出ようとすると、初老の女の人が「ヨウコじゃない」と、言った。
その人の顔を見ると、たしかに見覚えがあった。
子供の時の記憶が甦った。
母の特徴の長いアゴが決め手となった。
あっと思った時だった。
「ハギワラと似ている嫌な顔の女ネ」と、言った。
そういう母であったが、「私」が夫と離婚すると、今度は母たち一家が上京したいと言い出し、借家捜しを頼まれる。
「誰が悪いのでもない」萩原葉子著
札幌にいる母と連絡がとれ、汽車と船を乗り継いで札幌に向かう。
―私は胸が一杯で夢見心地のまま、駅の改札口に出ようとすると、初老の女の人が「ヨウコじゃない」と、言った。
その人の顔を見ると、たしかに見覚えがあった。
子供の時の記憶が甦った。
母の特徴の長いアゴが決め手となった。
あっと思った時だった。
「ハギワラと似ている嫌な顔の女ネ」と、言った。
そういう母であったが、「私」が夫と離婚すると、今度は母たち一家が上京したいと言い出し、借家捜しを頼まれる。
「誰が悪いのでもない」萩原葉子著
母のイネはそういう生活に嫌気がさしてかダンスに熱中し、「坊チャン刈りの男の人」と仲好くなり、幼い姉妹を置いたまま父と離別して家を去った。
父の前橋の家での生活、そこでの小学校のこと、祖父の死などが、骨太いタッチの文章で語られています。
さらに祖父の死後、一家は東京の世田谷に住むようになったこと、頼みとする父の死、葉子の結婚と続く。
この本のヤマともいえるのは、しかし、なんといっても「二十五年目の母との再会」です。