「誰が悪いのでもない」萩原葉子著
母が脳軟化症になった後の、妹とのもつれ合いのすさまじさも、ここまで書かれると爽快です。
硬質な文体の持つ効果が冴え、ユーモラスであり、私は声を立てて笑ってしまった。
実をいうと書評子の私は、以前に萩原葉子さんとは何回か会っています。
ほぼ二十年前のことで、私は編集者としてお会いしたのだが、この本に書かれている内容のことは少しも知らないでいた。
そこには、病いのある妹を抱き、離別した母も、ひいては父も許している葉子さんの強靱さと大らかさがあったのだろう、と今にして思っています。